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個人再生手続きの必要書類

  • 文責:所長 弁護士 横江利保
  • 最終更新日:2025年1月7日

個人再生手続は、返済する必要がある借金を一部に限定し、長期分割にすることで、借金の支払負担を大幅に減らすことができる債務整理手続です。

借金全額を支払えないおそれのある債務者が、裁判所に申立てをして、借金の一部を原則3年(最長5年)で返済する再生計画案を認可してもらい、その計画に従って返済を終えれば、残る借金が免除されます。

もっとも、再生計画の返済総額を決めるためには、借金や財産、家計などの多くの情報が必要です。

また、「再生計画の履行可能性」、つまり、再生計画上の返済を実際にできると裁判所に認めてもらうには、様々な書類をかき集めて、裁判所を説得する必要が生じることもあります。

このコラムでは、個人再生手続の流れの中で、いつ、どんな場合に、どの書類が必要なのかをまとめました。

1 個人再生の流れ

個人再生手続の流れは、簡単に言えば

①法律相談

②裁判所への申立ての準備

③裁判所への申立て

④手続の開始

⑤再生計画の認可

というものです。

以下では、この流れに沿って必要な書類を説明します。

2 弁護士への依頼

まずは、弁護士に相談しましょう。

個人再生は裁判所を通す複雑な手続きなので、専門家のサポートが必要不可欠です。

相談の時点で正確な資料そのものをできる限りお持ちいただけると、弁護士はより正確な説明がしやすくなります。

裁判や給与差し押さえ、税金滞納がある場合などには、対応を急ぐ必要がありますので、相談時点で資料そのものをお持ちいただくことが必要です。

⑴ 借金の契約書や明細書、請求書、督促状など

個人再生の手続においては、原則全ての債権者を手続の対象とする必要があります。

友人や勤務先含め、債権者全員につき、事前にご自身で把握をお願いします。

借金に関しては、下記の各情報が、その右側に記載している事項を判断するために必要です。

・借金総額:5000万円上限や最低弁済額

・各債権者の金額:小規模個人再生が打ち切られるリスク

・最終返済日:時効による借金消滅

・初回借入日や完済した借金の有無など:過払い金の有無や金額

・担保の有無:担保財産の処分リスク

・保証人の有無:保証人への連絡の必要性 など

⑵ 訴状や差し押さえ通知書など、裁判所からの書類

訴訟を提起されている場合、弁護士はすぐに対応策をとる必要があります。

できる限り、相談の時点で裁判所から送付された書類をお持ちください。

⑶ 税金滞納の納税通知書や督促状

税金など公租公課は、手続きにおいて減額したり分割払いにしたりすることはできません。

また、滞納した税金などの回収を行う「滞納処分」は、個人再生手続中ですら可能です。

滞納金額や期間を、弁護士はできる限り早い段階で正確に把握する必要があります。

⑷ 家計簿など収入や支出がわかる資料

家計の状況確認は、再生計画の履行可能性の見通しを立てるため不可欠です。

できるかぎり、家計簿、通帳、給与明細書をお持ちください。

また、同居人に収入がある場合、同居人の給与明細書等も必要になります。

⑸ 財産の価値を把握できる書類

財産の価値は、清算価値として再生計画上の返済総額の基準となります。

一方、財産の一部を取り崩すことで、履行可能性を認めてもらうこともできます。

下記の各資料をもとにその右側に記載した財産の価値を記入したメモ、もしくは各資料それ自体をお持ちください。

・通帳:預貯金残高

・保険証書:解約返戻金

・有価証券や外貨の取引明細書:投資商品の時価

・自動車の車種や年式がわかる資料:自動車の時価

・退職金見込額証明書または退職金規定:退職金の見込額

なお、不動産については、不動産業者の無料簡易査定を事前に取得しておくと、より具体的なご説明が可能です。

相続財産や他人に貸したお金がある場合は、遺産分割協議書や借用書などがあれば、できればお持ちください。

⑹ 住宅ローン

住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用する場合に、法律相談の際、できれば用意していただきたい書類は以下のとおりです。

・住宅ローンの契約書

・住宅ローンの完済までの返済額を証明する書類

・住宅ローンの保証会社と結んだ保証委託契約書

また、住宅資金特別条項には利用条件がありますので、できれば、下記の資料をお持ちください。

・住宅ローンの使い道がわかる資料

・ほかに抵当権がないことがわかる資料

・持ち家の利用状況がわかる簡単な見取り図(店舗などと兼用している場合)

・保証会社による代位弁済の通知書(保証会社に住宅ローンを代位弁済されてしまっている場合)

⑺ その他

①自動車の車検証や購入契約書、自動車ローンの書類(自動車ローンがある場合)

自動車ローンがある場合、非常に専門的で難しい問題が生じることがあります。

できる限り、車検証や購入契約書、自動車ローンの書類をお持ちください。

②水道光熱費や携帯料金、家賃などの請求書など

場合によっては、水道光熱費などの支払方法や振替口座を変更します。

また、携帯電話や家賃関連の滞納・未払い金がある場合には、契約解約の恐れがあります。

③婚姻費用、養育費、一部の損害賠償金などがあればそれに関する資料

手続きの影響を受けない、または、計画に基づく返済後に残金を支払う必要があります。

金額などがわかる資料があればお持ちください。

2 裁判所への申立ての準備

⑴ 裁判所への申立てのために必要な資料

申立書や財産目録などの専門的な書類は弁護士が作成します。

そのため、依頼者の方は、申立てのため必要となる下記の資料を集めてください。

しかし、具体的事情によっては不要となる場合もありますし、証明対象の時期や、手に入れる順序などは、具体的な事情の影響や、各地の裁判所の運用の違いもあり、一概には言えませんので、必ず弁護士に確認してみてください。

①身分や住所に関する資料

・本籍と続柄、世帯全員が記載されている住民票写しの原本

・賃貸借契約書や社宅証明書(借家住まいの方)

②家計の資料

下記の収入や税金に関する書類は、家計を同じくする家族がいれば、その家族のものも必要となります。

・家計簿

・給与明細書のコピー

・源泉徴収票のコピー

・課税証明書

・確定申告書の控え(過去2年間に確定申告をされている場合)

③財産の資料

・預貯金通帳のコピー(通帳を無くした場合や取引が合算されている場合は、取引履歴明細書)

・社内積立金の残高通知書

・保険証書

・保険解約返戻金額証明書

・退職金見込額証明書、または退職金規定と計算書

・車検証などのコピー

・自動車の査定書

・不動産登記簿謄本

・不動産の価値評価資料(固定資産評価証明書か、業者の査定書)

・その他換金価値のあるものの評価を証明する書類

④住宅資金特別条項を利用する場合

・住宅ローンの契約書のコピー

・住宅ローンの完済までの返済額を証明する書類

・住宅ローンの保証会社と結んだ保証委託契約書のコピー

・持ち家及び敷地の登記簿謄本

・持ち家の利用状況がわかる簡単な間取り図(持ち家が店舗などと兼用の場合)

・保証会社との保証委託契約書

・保証会社による代位弁済の通知書など、代位弁済の日がわかる書類(代位弁済があった場合)

⑵ 裁判や差し押さえがされている場合

・訴状(裁判をしている場合)

・差押命令正本(給料などを差し押さえられている場合)

・個人再生手続をすることで、差し押さえに対して一定の対処ができます。

⑶ 税金などの滞納がある場合

・納税通知書や督促状(税金の滞納がある場合)

・税金分納協議の報告書

税金は役所と協議を行い、税金を分割払いする「分納」を検討します。

裁判所は、履行可能性の判断をする上で、税金を重視しますし、申立ての時点で、履行可能性が認められる見込みがないと、手続が開始されません。

ですから、できる限り、手続の申立て前に、役所との分納協議をまとめ、その結果を申立てまでに裁判所に報告する必要があります。

3 申立てから手続開始まで

申立て後、裁判所から追加資料の提出を求められることがあります。

申立て前に準備することがほとんどですが、さらに詳細な資料の提出を求められることも珍しくありませんので、準備の上、裁判所へ提出をします。

4 手続開始から再生計画の認可まで

手続開始後においても、追加で資料の提出が必要となってくる場合があります。

ここでは、再生計画の履行可能性に関する資料としての別居の親族からの援助に関する資料を一例として紹介します。

家計の異なる別居の親族からの継続的な援助により、再生計画の履行可能性を認めてもらえることがあります。

そのためには、別居の親族の、

・給与明細書など収入を証明する資料

・親族の家計状況や保有財産など、経済的余裕を示すもろもろの資料

などが必要です。

もっとも、親族からの援助が本当に最後まで継続するかは、裁判所に疑われがちです。

また、親族の具体的状況次第では、さらなる追加資料が必要なこともあります。

典型例をあげましょう。

⑴ 親族が定年退職間近の場合

・親族の勤務先の就業規則

・再雇用の見込みなど、定年後一定の収入が見込めることを説明する親族による陳述書

⑵ 親族に独立していない子どもがいる場合

・教育費の予定など将来の家計に余裕があることを説明する陳述書

履行可能性を裁判所に認めてもらうため、裁判所を説得する資料を弁護士とともに集めてください。

5 個人再生は弁護士に相談を

個人再生手続は、収入や財産がそれなりにあるものの、それ以上の借金をしすぎて困っている方にとっては、特に便利な債務整理手続です。

一方で、働きながら多くの資料を収集しなければならないことは、個人再生手続をする方には、ほとんどの場合、かなり大きな負担になります。

申立書などの専門的な法律書類は弁護士が作成しますし、裁判所とのやり取りも弁護士が代行します。

しかし、弁護士が、書類の作成や裁判所の説得に必要な情報を手に入れるには、あなたご自身に必要書類や資料を収集していただく必要があるのです。

このページが、弁護士からの書類や資料の収集依頼を理解の一助となり、スムーズな必要書類の収集に役立つことがあれば幸いです。

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